フィリピンSS

ワークショップから見えたこと

吉田舞穂
人間文化課程 3年

11月11日、3限の時間からUP生とスタジオ生で「文化遺産の保護をめぐる日比比較」をテーマにワークショップを行った。まずUP生がフィリピンの文化遺産について具体的に、保護されているもの、されていないものなどについてプレゼンをしてくれた。その中でスペイン統治時代の建造物が多く出てきたため、昔統治されていたスペインについてどう思うかという話になった。

結果、UP生はスペインをあまり好きではないと言っていた。ただし、以前のような敵対心はないようで、それはもう過去の出来事であり自分たちとは関係のないことだからと話してくれた。その言葉を聞いてそういった柔軟性がとても大切だと思った。

日本は植民地支配はされたことがないがしたことはあり、戦争の責任や領土問題で他国と現代でも揉めているし、同じようなことで争っている国は多く、歴史をどう認識し、対応していくかは考えなければならない。UP生が言うように私たちの世代は被害を実際に見たわけではなく、学校で習っただけで直接被害を受けたり聞いたりしたわけではない人が増えている。もちろん悲しい歴史は忘れてはならないし、2度と繰り返してはならないと思うが、恨みを受け継いで行くよりも未来のことを考えて平和な道を探っていく方が良いと思う。

また、フィリピンにこういった考え方の大学生がいるのは教育の賜物でもあると思う。植民地支配の歴史を学校でどう教えるかで未来の世代の考え方も変わってくる。フィリピンでは教育方針を決める大人たちが恨みを受け継がない、中立的な歴史の教え方を選択したのだろう。自国優先の教え方ではなく、客観的な教え方が出来る教育が広まればいずれ過去の敵対心などなくなるだろう。

そしてすべてのワークショップに言えることだが、日常会話なら英語でなんとかできるものの、ワークショップになると専門的な用語が出てくるため自分の考えを伝えるのが本当に難しかった。話が止まってしまうためなるべく辞書は使いたくないが、どうやって自分の思いを英語で表現すれば良いのかわからない。文化遺産の話をするときは絵を描いたり携帯で写真を見せたりしてなんとかなったが、学生運動やEPAのときはそうするわけにもいかず、意見を伝えるのがさらに難しかった。自分の英語力のなさをこんなに悔しいと思ったことはなかった。

しかし最初は聞き取るのも大変だったUP生の言葉が段々と理解できるようになり、終盤では日本語よりも先に英語で頭に言葉が浮かぶほどになった。ワークショップやその他の活動でずっと英語を話していたから耳や脳が慣れたのだと思う。日常的に英語に触れて話したり、英語で考えたりする機会があれば英語力は伸ばせるのだと希望が見えたし、今後もUP生と関わっていくためにもっと英語を勉強しようと思った。

ワークショップは毎回全く違うテーマで行われたがどの回も学ぶことが多かった。UP生の質問の上手さに圧倒されたり、好奇心が旺盛で何でもすぐに吸収してしまうところに驚いたり、彼らのしっかりした意見に心を動かされたりと毎回とても刺激的で良い経験になった。