フィリピンSS

全力のパフォーマンス

田島南実
人間文化課程 3年

2日目のワークショップ終了後はカツ丼でお腹を満たして、カラオケに行った。 前年度から歌が上手いと定評のあるフィリピン生。カラオケに行くことはここ数回のSS・SVプログラムでは恒例となっており、今回もスケジュールに組み込むことはマストだった。

改めてUP生とのカラオケパーティーを振り返ると、「歌が上手い」という印象の所以は、歌唱力が高い人が多いことも確かだが、それ以上に歌を通して盛り上がること自体が上手かった。

最後のお別れパーティーでも、予定外の音楽にためらうことなくカラオケが始まり、弾けるような笑顔で歌って踊ってその場の雰囲気は全て持っていかれた。歌など好きではないかと思っていた学生が、飛び跳ねるようにダンスしていた。カラオケでは、みんなの本性が見え隠れする。それは前年度のSS・SVと同じく、互いに打ち解けるひとつのきっかけになった。

もちろんUP生の中にも歌の得意不得意に個人差はあるが、あの時間は上手い下手ではなくみんなでカラオケすることを、全員が楽しんでいた。UP生との交流では、こういう場によく出会う気がする。彼らはそれを作るのが上手い。近づきたくてもためらいが残る、そんな人を巻き込んで、みんなで幸せになる力がある。

歌やダンスやゲームを楽しむ精神は、初日の文楽のパフォーマンスに対する真剣な姿勢にも通ずるものがあったと思う。

外国である日本の芸能を、それも現代日本人の私達も触れたことのないものを、たった数ヶ月でここまで出来るのかというクオリティで演じてくれた。その瞬間に感想を具体的な言葉にすることが出来なかったのは、UP生の本気を見せられてただただ圧倒されていたからだと思う。

文楽にしてもカラオケにしても、演じる(歌う)瞬間に私の想像しなかった大きなものを感じさせてもらった。