フィリピンSS

伝統文化を守るということ

成瀬裕介
人間文化課程 1年

日本にはほかの国にはない多くの伝統文化がある。外国からも「クールジャパン」の一角としてアニメや漫画などに負けず劣らず人気がある。しかしながら、日本人はその多くの伝統文化に興味関心を抱いてないことが多くある。私もそのうちの一人だった。高校の授業で歌舞伎や落語を見ることはあったがそれをきっかけに深く勉強しようとは思わなかったし無論もう一度見に行くということはなかった。今回、日本を訪問したフィリピン大学(UP)の学生はフィリピンで多くの日本文化を勉強している。恥ずかしながら私よりも非常に多くの知識を持っている。日本を訪れるのに際し彼らの希望で桜木町駅の近くにある横浜能楽堂を訪ねた。横浜能楽堂はあることは知ってはいたが建物の中はおろかその近くにすら行ったことがなかった。観光地で多くの商業ビルが立ち並ぶみなとみらいのほど近くでありながら長年この場所で能の伝統を守り続けていた。UPの学生は係員の方の説明を熱心に聞いていた。もちろん日本語が完ぺきではないので先生が適宜英語で訳しながらの説明だがとても真剣にかつ楽しそうに聞いていた。私も一緒になって聞いていたが知らないことがほとんど。なんとなく国語や日本史の授業で聞いたことのあることもあったが、能舞台のそれぞれの意味や流派の違いはたまた能の歴史など私もとても勉強になる部分が多かった。そしてこの見学中私の中ではちょっとした事件があった。係員の方が説明の中で「陰陽道」という言葉を使った。ただ、UPの先生が「陰陽道」を知らず訳せないということがあった。私は「陰陽道」はさわりくらいならば説明できる。だが、それを英語で異文化の人々に伝えるということがこんなに難しいのかと肌で感じた。そもそも日本語で日本人の人々に説明することがままならないのにそれを英語で外国人の人々に説明することなどできるわけがない。あくまで付き添いで行ったとしてももう少し勉強してからのぞめばよかったと反省した。

今、日本には多くの外国人の方々が観光目的でやってきている。政府も観光業に力を入れだした。しかしながら、来てもらう側の日本人が伝統文化への知識がとても乏しいことになっている。むしろ外国人のほうがより多くのことを知っていることも少なくない。国際化が叫ばれている今の時代だからこそ日本人が最低限の自国の文化を知り発信できるようにならなければいけないとUPとの交流を通して強く感じた。