フランスSV

パリの多様な空間

岩崎 彩香
多和田 健人
吉田 詩織
畠山 和
都市科学部都市社会共生学科 2年

パリの公共空間について

フランスSV2018:セーヌ川近くにあるカフェ/セーヌ川沿いで開催されていた古本市(ブキニスト)/セーヌ川沿いで人々が休む様子

画像左:セーヌ川近くにあるカフェ/画像中央:セーヌ川沿いで開催されていた古本市(ブキニスト)/
画像右:セーヌ川沿いで人々が休む様子

フランス・パリを歩いていると、日本とは少し異なった公共空間が見えてくる。日本では人々が日常を過ごす場所といえば、家の中や外に出かけてもどこかのショッピングセンターであったり、カフェであったり、と想像する。日々、公園や路上のベンチのような公共空間で過ごすという人は多くはないだろう。パリを歩いている中で私が感じたのはパリの人々は日常を路上の公共的な空間で過ごすことが多いのではないかということ、さらにパリという街は人々にそのような日常を提供するように設計されているのではないかということだ。つまり、パリは人のための空間が作られているというように感じた。パリの街中にはそう思わせるような場所がいくつかあった。

パリの街を歩いていて、一番初めに気づくのはパリ市内にあるカフェがとても多いということだ。さらにその多くはオープンテラスを併設している。オープンテラスはパリの路上公共空間と一体化し、多くの人々がそこでのひと時を過ごしていた。パリではカフェではなくても、店先の路上空間を商業に利用しているところを数多く見ることができた。さらに、路上にベンチが多く設置してあることにも気づく。誰でも自由に座ることのできるベンチはパリの路上を歩くという目的だけではなく人が休憩するという目的も加わり、人のための公共空間づくりに貢献しているのではないかと思う。パリでは人々が自由に休める場所が数多く見られた。

セーヌ川沿いでは、古本市(ブキニスト)が開催されていた。このブキニストも路上の公共空間にて行われているものだった。このブキニストの歴史は古く、17世紀から行われているそうで、パリの風物詩として知られる。現在ではパリのセーヌ川河岸はユネスコの世界遺産に登録されている。

パリは人のためにつくられていると感じたが、決して車が排除されているとは感じなかった。街中には多くの車が走り、特に凱旋門近くでは交通渋滞も発生するほどだったからだ。さらにパリ中心部には大規模な駐車場などはなく、街中での駐車場はこれもまた路上空間だった。車道の端は縦列駐車専用の駐車場として整備されており、多くの車が駐車されていた。

パリでは公共空間は誰でも自由に使える場所であるという意識が根付いており、人々は気ままに時を過ごしていた。パリの公共空間、特に歩道や公園は人のための空間であると感じたが、車は排除されているわけではなく、公共空間における共存を感じた。

PUBLIC SPACE IN PARIS

IWASAKI, Ayaka
Sophemore of the CUS

In Paris, I found that the public space in Paris was little different from that in Japan. People in Paris spent a lot of time outside, especially in the street public space. I think Japanese people spent many time in house, shop or café that is not open terrace, so I was surprised at the way of people’s spending time in Paris. I thought Paris was made for human and Paris let people spend time like that. There were some places that Paris was made for human.

In Paris, we could frequently see a lot of benches on the sidewalk. People could use that freely. Moreover, we could see many café with open terrace. A lot of people enjoyed drinking something at café and some of people enjoyed at open terrace. The open terrace was on the street. I saw the sights that many shops used the spaces in front of their shops for their business. Along the Seine river, we could see secondhand book shop called bouquiniste.

I understood that in Paris, the public space was the rest place that anyone can use and many people spent a lot of time. But cars were not excluded. I felt that Paris was not only for human. Human and cars existed together well in the public space in Paris.


シャトー・ルージュでの体験

フランスSVの全行程のうち、パリで過ごした5日間はモンマルトルにあるホステルに宿泊した。そのホステルは18区に位置していた。私はモンマルトルと聞くと、過去に芸術家たちが暮らした街というイメージしか持っていなかったが私たちがその期間に目の当たりにしたのは、それ以前に私たちが抱いていたステレオタイプとは全く異なるパリの姿であり、少なからず衝撃を受けた。

シャルル・ド・ゴール空港に早朝についた私たちは、まずタクシーでホテルに向かい荷物を預けてから観光に出かけることにした。空港からのタクシーでは法外な料金を請求される事件が相次いでいるという情報を出国前に聞いていたので、認可を受けたタクシーに出発前に値段を確認してから出発してもらった(空港から市内までのタクシー料金はエリアによって定額で決まっている)。空港からの移動について様々な危険な噂を聞いていたが、思っていたよりもスムーズに移動できたことに安心していた。

宿に荷物を預けて、最寄りの駅の一つであるシャトールージュ駅へ向かう途中で一人の男が通りをこちらへ歩いて来るのが目に入った。男は季節外れの格好で(10月のパリはかなり肌寒かったが男は半袖だった)ビニール傘を振り回しながらこちらへ歩いてきた。彼の見た目から移民もしくはフランス国外にルーツを持っているらしいことが推測できた。また足取りや口調の乱れ方は尋常な成人男性の酩酊状態からは程遠く、意識も途切れ途切れになっているようだった。異常な光景を目の当たりにして私たちはまず、その男と関わりを持たずに人通りの多い通りや駅のような公共施設に入ることを目指した。が不幸にも、道路を渡るときに男と目があってしまい、こちらの存在に気づかれてしまった。そのあとはこちらに向かって不明瞭な言葉を発しながら、急ぎ足でその場を離れようとする私たちの後をつけて歩いてきた。すぐに彼は私たちを攻撃したり何かを盗み取ろうとしたりする意思がないのを感じ取ったが最後まで彼の言いたいことはわからなかった。

パリ市内はメトロの路線が張り巡らされており、私たちのような観光客だけでなく多くの市民が移動に利用している。どこかの観光地から移動するあいだ、(肌が触れ合うほど乗客は多かった)車内に妙な雰囲気が流れ始めたのを察した。車両前方で大きな声が上がっているのに、誰もそちらの方をみようともしない。緊張が車内を包んでいた。次第に一人の腰の曲がった老人がわざとらしい咳をしながら乗客一人一人にせがむような顔を向けてゆっくりとこちらへ歩いて来るのが目に入った。乗客たちは関わるのを拒むようにそっぽを向いており、老人は反応の悪い彼らに対してイラついているようだった。そのうち老人は私たちの目の前で足を止めた。ゆっくりと咳をする。なんどもなんども執拗に咳を繰り返した後でこちらの顔を物欲しそうな様子で伺う。目を合わさずにうつむいている。他の乗客に対してよりも明らかに長い間、私たちの前で足を止めていることに気づく。狙われていると気づいた時にはもう遅く、老人は私に顔を近づけて何かを叫んだ。老人と目があった。何かを訴えかけている目だったが最後まで私には彼の言葉が理解できなかった。結局、同じ車両のヨーロッパ人の男性が声をあげて老人を追い払ってくれてその場は収まった。

他にも何度かSVの間に危険な目にあったが、ついに無事に帰国することができた。彼らは決して身体的に暴力を振るうことはなかった(全ての人がそうであるとは限らないのでもちろん注意を怠ってはいけない)。そして私たちは最後まで彼らの訴えを理解することはできなかった。このような状況下は日本では決して体験できないことであり、今回はパリの中でも特に移民が多く治安が悪いと言われる18区に滞在したことでこのような経験をすることができた。私がこれから芸術系に進むにしても、社会系に進むにしてもパリで感じた移民のリアリティを忘れずに、いつかフランス語が話せるようになってからまた訪れたいと思う。

AN EXPERIENCE IN CHATEAU ROUGE QUARTER

TAWADA, Kento
Sophemore of the CUS

I stayed at the area named “Chateau Rouge” in Montmartre. In that area, lots of immigrants from African country are settled. What I saw there is totally different from my stereotype for Paris. Sometime I felt fear because that was my first time to communicate with immigrants. In Japan, I don’t see them in daily life, so I’m really confused and hesitate to talk to them. But that was actually great experience for me to think about the actual circumstance of them and Paris. On the other hand, I saw some bad aspect of them. Sometime I was shouted by them, I had no idea about the reason why they do so because I couldn’t understand their language. After that I was talked by an addicted man on the road in early morning. He is obviously drunk and using. First of all, I avoid from him because my teacher said that I should keep far away from people seemed dangerous. He followed me with 5 or 6 minutes (Actually I was scared and would like to go back to my hotel), but few minutes later, I found that he didn’t want to attack me. All the time, he was complaining about something. I couldn’t understand what he wanted to insist, and that was my regret.


音楽の溢れる街・パリ

パリのストリートミュージシャン

フランスSV中、パリの街中を歩いていると1日に1回はストリートミュージシャンを見かけたのではないかというくらい、路上ライブが頻繁に行われていた。街頭でのジャズバンドの演奏や、一人での弾き語りなど形態はさまざま。使用されている楽器も、ギターやサックス、アコーディオンなど多岐に渡る。日本ではなかなか見られないような楽器の生演奏を聴くことができた。

ストリートライブの中でも特に印象に残ったのは、パリ市内の移動において重要な交通機関であるメトロでの演奏である。駅構内ではホームや通路など、ありとあらゆるところから音楽が聴こえてきたが、これも日本では見られない光景だった。

フランスSV2018:写真2

実は、メトロの駅で演奏している人たちはただのストリートミュージシャンではなく、みなパリ市交通公団RATPの主宰するオーディションに合格し許可を得た、公認のミュージシャン達なのである。この制度は、無許可で場所を取って金を稼ぐ人たちへの対策として生み出されたもの。違法な演奏者を追い出しても追い出しても埒が明かないと踏んだパリ市交通公団は、1997年からオーディションを始めた。

毎年春と秋に開催されるオーディションには2,000組以上の応募があり、その中から選ばれて許可証をもらえるのはわずか300組。合格した人たちは申請料を払い、許可証をもらう。なかには無許可で演奏している人もいるが、きちんとオーディションを通過した人たちは、許可証を見える場所に置いて演奏している。

一度合格したとしても、演奏を続けるには毎年改めてオーディションを受けなければならない。また採点においては、国籍やジャンルを問わず、プロやアマチュアから幅広く選ぶという基準もあるようで、正式なストリートミュージシャンとなる道のりは平坦ではないのだ。

フランスの音楽祭 Fête de la Musique

ストリートライブによって日常的に誰もが音楽に触れることのできる街パリでは、年に一度国を挙げた音楽祭が開催される。その名も音楽の日、Fête de la Musique。1982年に始まったこの音楽祭は、世界で最も歴史のある市民音楽祭の一つだ。毎年6月21日の夏至の日に合わせて行われ、あらゆるジャンルの音楽があらゆる場所で演奏される。そして、“音楽は全ての人のもの”という基本精神のもと、この日に行われるすべての演奏が無料で、誰もが自由に参加できるようになっている。

国家プロジェクトとして音楽に触れる機会が設けられることによって、市民にとって街に溢れる音楽の存在は当たり前のものとして受け入れられているのだと思う。パリで見かけたストリートミュージシャンに対する暖かいまなざしは、こうした文化から生まれているものだと感じた。いつか私も音楽の日に参加して、パリで奏でられるたくさんの音楽に触れてみたい。

PARIS, ville de la musique

YOSHIDA, Shiori
2e SCIENCES URBAINES

Lors du voyage en France, il y avait de nombreux concerts dans les rues de Paris. J'ai pu voir différentes formes de performances. C'est une expérience que je ne peux pas faire au Japon.

Le spectacle le plus impressionnant dans la rue est celui dans le métro. La musique que l'on peut entendre depuis chez soi et le couloir de la station est un spectacle qui n'existe pas au Japon. Tous les musiciens qui jouent dans le métro sont des personnes ayant reçu l'autorisation de la RATP. Une audition pour obtenir une autorisation a lieu chaque printemps et en automne. Seuls ceux qui ont respecté des normes strictes et reçu des permis peuvent jouer officiellement. Il n’est pas facile de devenir un musicien officiel.

À Paris, un grand festival de musique appelé Fête de la Musique est organisé. Cela a lieu le 21 juin de chaque année. Tous les genres de musique sont joués dans tous les endroits, et on peut écouter gratuitement. Tout le monde peut partager la musique. Cela vient de la philosophie selon laquelle "la musique appartient à tout le monde".

L’existence de ces projets rend la musique plus familière aux Français. Je veux aussi participer à la Fête de la Musique.


パリの図書館

パリ到着後3日目の午後2時過ぎにサント・ジュヌヴィエーヴ図書館に着いた。入口は狭くて、学生らしき人たちがガードマンにパスを見せて出入りしていた。事情を話すと、ミニツアーのようなものがあり、見学できるとのこと。ツアーはイギリスから来たという一家と一緒だった。階段を上ると、書架室の前にもエントランスのようなものがあった。書架室の外の天井には星が書いてあり、本によって知が開ける前、闇を表しているらしい。中に入ると、天井は高く、明かり取り窓は大きくなり、随所に太陽モチーフの装飾が施されていた。フロアはほぼ閲覧席になっていて、書架はすべて壁際に並んでいる。中央に並んだ座席を周歩廊が囲み、壁に沿って祭壇が並んでいる教会の間取りとよく似ていた。フロアにも書架が並んでいる日本のスタイルとは異なる。人々を取り囲むことで荘厳さ、偉大さを演出しているようだ。陰になる部分が全くなく、全利用者を見渡すことができる空間は読書をするには少し居心地が悪く感じるが、防犯上の理由もあったのかもしれない。

フランスSV2018:写真3

サント・ジュヌヴィエーヴ図書館を出て、セーヌ川左岸を歩いた。国立図書館(BNFフランソワ・ミッテラン)は13区にある。進むにつれて大きなオフィスビルや小規模の工場のようなものが目立つようになった。それまで見たパリの街並みは、建物、歩道、車道にどことなく連続性があったが、はっきりと分断された印象だ。すれ違う人も徐々に少なくなっていく。

右手に四方が木造階段になっている巨大な建物が出てきた。図書館のイメージとかけ離れていたため一度気づかず通り過ぎてしまったが、これがフランス国立図書館だった。階段の上に登ると、中心はくりぬいたような吹き抜けになっていて、その四隅にコーナーガード状の建物が構えている。人々はダンスを練習したり、話をしたり、楽器を練習したりと思い思いに過ごしていた。吹き抜けから見えるガラス張りの渡り廊下には、見学に来た小学生が並んで歩いているのが見えた。しばらく歩き回っていると下に続く入口を見つけた。ここから入館するらしい。入るつもりだったのだが、厳めしいガードマンがチェックをしていたためしり込みしてしまった。結局ぐるぐる歩き回ったり、座ってセーヌ川を眺めたりしてユネスコ本部に向かった。

帰国してから聞いたが、フランスでは日曜日が図書館の休館日らしい。一部の分野では例外的に認められているが、原則として日曜就労が禁止されているようだ。ただ、その例外の中には興行施設(劇場、映画館など)、レジャー施設が含まれている。図書館は平日時間のない人にとっては休日に訪れる娯楽施設になるため、開館すべきではないかと思ったが、世界でも読書に割く時間が長いフランス(NOPワールドの調査では1週間に平均6時間45分)では、図書館が開いているかに依らず読みたければ自発的に何らかの手段で読書をするのかもしれない。もっとも国民の世論では過半数が日曜営業自由化に賛成しているようで、日曜就労の給与の上乗せ割合を決めるなど、被雇用者の仕事と私生活のバランスを取る具体的な処置がなされれば今後変わっていくかもしれない。

LES BIBLIOTHEQUES A PARIS

HATAYAMA, Nodoka
2e SCIENCES URBAINES

J’ai visité plusieurs bibliothèques parisiennes. J’ai été impressionée qu’à l’intérieure d’elles il y a beaucoup d’espace, et par l’histoire de leur bâtiment.