パラグアイSV

パラグアイ・ブラジル渡航における日系人の方々との交流

パラグアイ

日本国外には多数の日系移住地が存在するが、2世、3世となるにつれて日本語の読み書きができなくなる、話せなくなるという研究も多い。パラグアイには戦後・戦後多くの日本人が移住したことから大きな4つの日系移住地がある。私たちはその中の3か所(ラ・コルメナ移住地、ピラポ移住地、イグアス移住地 下図5)を訪問させて頂いた。

パラグアイSV2017:ラ・コルメナ移住地、ピラポ移住地、イグアス移住地

ラ・コルメナ移住地、ピラポ移住地、イグアス移住地5

特にここではイグアス移住地を紹介させて頂く。これまでパラグアイで慣れないスペイン語で生活してきたこともあり、イグアス移住地に到着した時、青年部のみなさんたちに迎えて頂き、飛び交う日本語を聞いた時ほっとしたのが正直な感想だ。「こんばんは〜」という日常の挨拶がとても嬉しかった。2泊3日という長い時間をホームステイさせて頂いたことにも心から感謝している。ホームステイさせて頂いたところは私たちと年齢の近い青年部の方のご家庭が多く、言語の壁もなく、多くのことを話すことができた。日本食をふるまって下さったり、新しく開発されてきたイグアス移住地周辺の観光地を案内して下さったりと、貴重な時間を私たちのために割いて下さった。感謝の気持ちが絶えないホームステイであった。

私たちが今回交流せていただいた方々は3世の方が多かったが、皆さんはとても日本語が上手だった。「日本に行ってみたい」、「おススメの漫画は何」などの日常の会話がとても楽しく、盛り上がることができた。

パラグアイSV2017:イグアス日系移住地の方々と

イグアス日系移住地の方々と

イグアスのコミュニティの運営は、ほとんど自分たちで行っているそうである。警備も有志で行ったり、イグアス日系人会からお金を出してパトロールをお願いしたりと日本とは違うところも知ることができた。仕事面では、皆さんとても勤勉であるという印象を受けた。移住当時から始まった農業のお話をうかがい1世の方々の移住から今日に至るまので大変さも多く学ばせて頂くとともに、それを受け継ぐ責任のある今の若い世代の方々の大変さと頼もしさを感じられた。

パラグアイという日本を丁度ぐるりと回ったところに位置する国で、美しい日本語が受け継がれていることに驚ろくとともに、大変嬉しかった。私たちを暖かく迎え入れて下さり、ホームステイにも受け入れて下さり、楽しく貴重な経験をさせて頂いたことに感謝の思いで一杯である。中心になってホームステイをアレンジをして下さった日系次世代リーダー育成研修で横浜国立大学に留学し、学んでおられる大西星川ウイルソン秀次さんをはじめ、イグアス青年部部長の小矢澤正彦様、青年部の皆様方、ご家族の皆様方には心より感謝いたします。

ブラジル

私たちは、パラグアイ滞在の後、ブラジルに移動し、サンパウロ他に6日間滞在した。2015年度日系社会次世代育成研修の元研修生のアブノカオリさんやタキナミヒトシさん他皆さまのアレンジのもと、充実した時間を過ごすことができたことに心より感謝しております。

横浜国立大学の南米ブランチであるサンパウロ大学の平川アンドレ教授には、宿泊場所を用意して頂いたり、サンパウロ大学でのディスカッションのアレンジをして頂いたりした。サンパウロ大学ではこれまでのスペイン語や日本語での会話から、英語とポルトガル語と日本語に変わったことから、とてもわくわくする感覚を持った。サンパウロでは多くの方々の力を借り、たくさんのことを学ぶことができた。

ピラール・ド・スールにある日系移住地でも交流会とホームステイをさせて頂いた。ピラール・ド・スールはサンパウロ市から南西へ150キロほど離れた場所に位置する。ここには日系の家族が200世帯ほど暮らしており、2017年で入植62年目になるそうだ。

ピラール・ド・スールの青年部の方々との交流では、ドッチボールやジェスチャーゲームを行った。青年部の世代は日系3世、4世がほとんどであるというが、一緒に日本語で会話し、笑い合い、日本にいるような感覚になった。夜にはブラジルの料理を振舞って下さったり、ダンスをしたり、とても楽しい交流会になった。

ホームステイでは日系の方の家族の家に泊まらせて頂いた。湯船があったりNHKが映っていたりと、日本の家庭がそのままブラジルに移ってきたことを感じた。パラグアイの移住の歴史とブラジルの移住の歴史の違いも肌で感じることができた。

ピラール・ド・スールでもパラグアイの移住地でも日系の方々の温かさをたくさん感じることができた。それぞれの日系移住地は、歴史的な背景や特徴が異なり、それを論文や授業などで学ぶのみならず、その地に出向き、自分たちの目で見て、そこで暮らす方々と話すことができ、教科書とは異なる多くの発見もあり、多くのことを学ぶことができた。日本から遠く離れた地でも日本の文化や言葉、日本人としてのアイデンティティ(礼儀、規律、おもてなしなど)を忘れずに受け継いでいる日系人の方々との交流は、私たち自身のアイデンティティについても考え直す良い機会となった。

パラグアイSV2017:ピラール・ド・スールの青年部の方々との一枚

ピラール・ド・スールの青年部の方々との一枚

このような長期間のショートビジットの企画・運営は、横浜国立大学の長谷部勇一学長の支援と藤掛洋子先生の長期に渡るアレンジをはじめ、学術交流協定大学の学長・先生方、事務の方々、横浜国立大学に留学されていた佐藤鈴木誠吾セルヒオさん、現地で受け入れて下さる方々、国際協力の実践では村の学校の先生方、村の住民の方々、村の学校の生徒さんたち、安全に私たちを村まで連れて行って下さる運転手さんなど多くの方々の支援があって初めて達成できるものです。お世話になった皆様方に心より感謝申し上げます。

SVパラグアイ・ブラジル渡航参加学生
教育人間科学部人間文化課程3年生:鈴木泰輔、久保田玲海
教育人間科学部人間文化課程2年生:妹尾まりあ、松岡万理恵、樋口円華、坂田有紀奈、
松永祐人、反田遥南、佐藤里南、平川奈菜、齋藤幾日、林佑紀
都市イノベーション学府博士前期課程2年生:大西星川ウイルソン秀次
環境情報学府情報メディア環境学専攻博士前期課程2年生:藤田雅之