フィリピンSV

ホームステイ体験記

倉田 侑亮
人間文化課程 1年

ホームステイは滞在3日目、マニラ郊外にあるマリキナ地区で行われ、私は、父と母、それと小学生の長女長男二人を合わせた4人家族の家にお世話になった。前日にシングルマザーやストリートチルドレンに関連するNPOを訪問していたせいか、家にあがらせてもらうとすぐに部屋の壁に夫婦写真をはじめ子供二人の大きな家族写真が貼ってあることに気づき、どこか微笑ましさを感じ、ほっと胸を撫で下ろした自分がいた。私たち外国人訪問客を交えての夕食でも、家族団欒のにぎやかな様子はひしひしと伝わり、ホームステイを通じて夫婦親子関係の仲の良さがとても強く感じられた。

2, 3人1組でホームステイをした私たちはそれぞれの家庭の夕食を経験した。

夕食は、シリガン*8をメインとするフィリピンの家庭料理がふるまわれ、日本食では味わえない独特の旨味や酸味を楽しませていただいた。デザートに出されたグリーンマンゴーを、通りすがりの少年に声をかけ食べさせていたホストマザーの姿も、都会にいては見られないであろう素敵な光景だった。(食事中、家の戸が常に開いていたため近隣の人たちがしばしば訪れてきた。)室内に関してはキッチンと寝室の二部屋しかなく、周辺の家々と比べて狭小な気もした。しかし、家族全員で身を寄せ合って夜を明かすことや、フリータイムをずっと談笑して過ごす生活も、フィリピンの家族愛を肌で感じる非常に貴重な経験となったはずだ。

確かに生活環境や文化の面は、日本とフィリピンとで大きく異なっているだろう。しかし家族愛や隣人愛といった気持ちは、日本と同じかそれ以上に強いものであったと思う。ホームステイに限らず、全体を通じて現地の人たちと直接触れ合う機会も多く、フィリピンの抱える問題や、それに対して私たちがどのように関わることができるのかといった課題を見つけるきっかけがこのツアーには存分にあったと思う。たくさんの経験をさせてくださり、そして私たちを暖かく迎えてくれたフィリピンの方々には、感謝の気持ちでいっぱいだ。

注釈
  • *8 シリガン フィリピン料理の一つ。魚介類や肉が入った酸味のきいたスープ。