フィリピンSS
YNU Voice

Workshop : Job Satisfaction から 他

白井 翼
教育人間科学部 人間文化課程 1年

1. Workshop : Job Satisfaction から

去る12月12日、我々の所属する小ケ谷スタジオが主催で「Job Satisfaction」についてのディスカッション及びワークショップを開催した。大まかにJob Satisfaction(職業満足度)についてプレゼンテンショーンを行った後、「職業において最も重要視することは何か」というテーマで
 ① Job Quality
 ② Work/Life Balance
 ③ Opportunities to Learn and Grow
 ④ Camaraderie with Coworkers
 ⑤ A Good Relationships with the Boss
 ⑥ Other
という6つの選択肢を設定し、UP生とYNU生を交えた4〜5人ほどのグループを構成し議論を交わした。

私のグループでは、UP生は③Opportunities to Learn and Growを、YNU生(男)は①Job Qualityを、YNU生(女)は②Work/Life Balanceをまず選ぶ結果となったのであるが、この議論及びワークショップを通して、私には、日比間の労働環境の差異から生まれる考え方の差異以上に、特に日本の男女間の差異が浮かび上がって感じられた。というのも、他のグループにおいても、YNU生(女)はUP生やYNU生(男)と比較すると②Work/Life Balanceを挙げた、あるいは考慮した意見の人が多数存在したことに加えて、実際に厚生労働省が発表している平成25年度「厚生労働白書」を参照してみても、非正規雇用の労働者のうち、「正社員に変わりたい」とする者の割合を見ると、男性の20〜34歳層では、ほぼ5割を超えるのに対し、女性の20〜30歳代においては3割前後であり、非正規雇用を選択した女性は、その理由として、「正社員として働ける会社がなかったから」という割合よりも、「自分の都合のよい時間に働けるから」や「家計の補助、学資等を得たいから」、「家庭の事情は他の活動と両立しやすいから」という割合が多くなっており、改めて自国の状況に目を向けさせられ、気付かされたからである。主観的な立場からの意見を客観的立場の人々に投げかけて、それに対するフィードバックを貰う事で、考えを改めたり、深めたりしてゆく。そういった事がお互いに出来たという点でも、また自国の状況について顧みて考える契機を与えて貰ったという点でも、非常に有意義なワークショップであったと思う。

2. 災害支援という観点から見た日本とフィリピン

2011年3月11日に日本で起きた「東日本大震災」。あるいは2013年11月にフィリピンを襲い、多大な被害を出した台風第30号「Haiyan Yolanda」。自然災害というものが極身近なものとして実感される機会を経験した我々YNU生、UP生両者にとって、「災害支援」というテーマは非常にタイムリーで、ホットな話題であった。

そんな我々は、今回のGlobal Studies Programの中で、12月11日に有明にある東京臨海広域防災公園に足を運んだ。防災公園では、災害に関する幾つかの問いを考えながら首都直下地震の発災から避難までの一連の流れを体験できる「東京直下 72h TOUR」というツアーをはじめ、防災施設の中にあるオペレーションルームや世界の防災用品・各種防災ゲームの展示を見学・体験した。また、その翌日には、「Disaster victim relief activities in UP」という題で、Prof. Umali (UP-CIS) によるレクチャーを受けた後に、防災をテーマにディスカッションを行った。

災害支援ひとつにしても、日比間でその方法は大きく異なる。これはレクチャーから学び得た収穫の一つである。また個人的には、UP生が東日本大震災のことを「トウホク」と呼んでいたことが非常に印象的であった。以下の命題は、後に我々が所属する小ケ谷スタジオでスーザン・ソンタグさんの「他者の苦痛へのまなざし」という著書を通して模索したテーマでもあるが、我々は、この人為的ではない、自然災害による他者の苦痛に対して、どのようなまなざしを向ければよいのであろうか。我々に何が出来るのであろうか。これは私がこれからも探究してゆきたい命題の一つとなった。

3. 日比交流の契機としてのGlobal Studies Program

先に述べた2つのテーマに関しては、ワークショップや施設見学、ディスカッションなどの、どちらかと言えばフォーマルなフィールドにおける交流についてであるが、インフォーマルなフィールドでの交流についても最後に述べておきたい。

UP生が日本に滞在した約一週間、フォーマルな活動を行った後の放課後には、参加できるYNUの学生で、UP生と夕食に行ったり、ショッピングをしたり、横浜を案内したり、カラオケや温泉に行ったりと様々な形で交流を深めた。UP生を寮に送り届けるまでの間、毎日様々な話をした。正直、フォーマルな活動以外のこういったインフォーマルな交流がなければ、SS終了後の繋がりはなくなってしまっていたのではないかと思う。それだけ、お互いを知り交流を円滑にするには重要な時間あった上に、難しい事は考えずにただ会話を楽しんだり、共に歌って笑い合ったり、国境を越えた人と人との交流という意味で、本当に有意義なものであったと実感している。距離的に離れたUP生と、SSが終了した後の今でも繋がり続け、Facebookなどでお互いに頻繁にやり取りをするのは、こういったインフォーマルな交流があったからこそであると思う。また、一週間の短期的な交流で終えてしまうのではなく、長期的に交流を続けていく事。SSを終えて、その重要性を私は感じている。このGlobal Studies Programによって得ることが出来た繋がりを絶やすことなくこれからも交流を続けていきたい。

最後に、このGlobal Studiesでの学びは、必ず次の思考やアクションに繋がるものであるだろう。ただ「ああ、良い経験が出来た」で済ませてしまうのはナンセンスであると思う。こういった経験をする事が出来た者の特権あるいは責任として、その形態は個々人によるにせよ、何らかの形で次に繋げていかなければならないと思うし、繋げていきたいと思う。