フィリピンSS
YNU Voice

フィリピン人から見た日本と、日本人から見た日本

當銘 梨夏
教育人間科学部 人間文化課程 2年

私がフィリピンSSで一番印象に残ったのは、フィリピン人から見た日本と、日本人から見た日本とに差があることを実感したことである。

きっかけは、UP生の演じる能を見学した時である。彼らは笛や小鼓などそれぞれが役割を分担し、その努力の成果を表してくれた。しかし私は能に明るくなく、彼らがどのくらいのレベルまで練習したのかも分からず、ただ眺めていることしかできなかった。フィリピンでも練習し、日本に来てからもレッスンを重ねて頑張ってくれたのにそれをくみ取れなかった自分が非常に歯がゆかった。そして、「外国の人からこんなにも興味を持たれている日本文化について自分が知らない」ということをとてももったいなく思った。同様のことはJapanese Tea Ceremonyとしてお茶会を開いた時にも考えた。彼らは日本文化を体感するということでお茶会をとても楽しみにしていてくれたが、私も本物の抹茶を飲む機会を1、2度しか経験したことがなく、UP生と共に新鮮な気分で臨んでしまった。フィリピン人から見て「日本文化」とされるものなのに、日本人である私が知らないのはとても恥ずかしく思った。

昨今グローバル化が進んでいる中、もちろん海外経験や海外の文化に触れることも重要であると思う。しかし、それ以前に自分の中で自国の文化についてきちんと理解していなければ比較ができない。フィリピンの人と交流したことにより逆に日本についての無知に気付かされたのは私の中で大きな発見であった。

また、短い期間ではあったが彼らと過ごしたことで、日本という国をもっと誇りに思おうという気持ちも生まれてきた。例えば、私たち日本人は留学するにしても外国の知識をたくさん取りいれたい、外国の文化に触れたいという自身へのインプットが目的であるように感じる。しかし、UP生を始めとする留学生は日本に対し憧れを持ってくれている人が多く、日本で吸収したことを自国に活かそうというアウトプットを目的としているように感じた。これは自国への帰属意識や誇りが関係しているのではないだろうか。私たち日本人も自国の文化についてもっと知り、日本の良さを誇りに思えるようになるべきだと強く思った。